「今10年後の私が見えた。」
「10年後の私が嘲笑ってた。私の若さを。」
女の子二人の映画です。
それだけ、と締めくくりたくなる気持ちがでるような、明確に言語化できない部分が肝の映画でした。
ギターを撫でてポラロイドカメラで写真を撮るソニーと恋にふわふわしてるエイミーの二人の女子高生。
口に出せない、形にならないそんな類の10代のモヤモヤを女の子らしい世界観で映し出した、
肌の露出が多めのルームウェアでもだらしなさがでない、多分年頃としても10代の、まだ肉付きが少女の女の子たちだからこそできた映画。
わかりやすい起承転結は無く、 大事な部分はどちらの口からも台詞として出てこないので
明快さが無いとすっきりしない人には結構厳しい映画だと思います。
でも、すごくキラキラしてかつじっとりと小さいトゲがあって、
でもそのトゲもどこかかわいらしく見える、そんな映画でした。
見所はソニーとエイミーのあやふやな会話と二人の可愛い衣装。
それからお洒落な秘密の場所。あの部屋が欲しい!!ストックがあまり無い中で恐縮ですが言外の空気を察するスキルとしては
何となく昔にイージー・ライダー見てた時を思い出しました。
ソニーの学校で抱えてるちょっとした疎外感と自分のことも「よくわかんない」あやふやな皮膚感覚。
エイミーのまだ初々しい「恋」で、相手の男の人をカッコイイカッコイイ言ってるんだけど
その実お相手は多分ソニーや視聴してる私たちの半数以上が「どこが?」っていうようなだらしない(それも色男としてというより酔いどれとしての)男。
そんな二人が出会って、逃避先として、また楽しむ場所として使っている秘密の場所で、
どこか空回りな喧嘩となし崩しの仲直り。
そもそも大事なことを口に出して言っていない二人だから「仲直りしよう」とも当然言わないわけで。
DVDクレジットより、衣装協力の一覧。
ファッション系ブログ()なことを入れておくと、衣装協力にThe Viridi-anne やスズキタカユキ、RICOに意外なところでテーラー&カッター、丸井系に移りまして キャサリンハムネットや、NO-IDなんかがあったことを追記しておきますw
靴だとAuthentic Shoe & Co. なんかも。
怪我した後のソニーのシャツはスズキタカユキのものなのかしら?
なんかヴィヴィアンっぽいシャツだったけど。
もともとこの映画は先行してタイトルにある「逆さまの蝶」という曲が先にあって、
そこからインスピレーションを得て制作されたとか。
私、その元の曲は知ってたんですよ。割と好きでちょっと冒頭のあたりをコピーしたりもしてました。
だからてっきり 、最終的にどっかでソニーが感情の爆発の表現としてこの曲を弾いてくれるのかなぁと…思ってたのですが…不発。
いやまぁ最後まで見て確かにこの映画の中でそんなシーンは似つかわしくないなと。
表現としてはありでも尺として長すぎる。1番だけでもね。
そんなことよりまさかの鮎川出現に驚いたwwwもうお前がギター指導してやれば良かったのにwwwww
いや、以外と溶け込んでてびっくりしました。シーナ&ザ・ロケッツの鮎川誠さん登場。
多分英語訛りの片言貿易商っていう怪しさ極まりない役どころと映画の空気がとても合ってたんだと思う。
10代っぽさ 8点
おしゃれ度 9点
起承転結 5点
雰囲気 8点
総合評価 7点
【蛇足】
ソニーのギター事件 考察
…と、いうほどでもないのですが。
エイミーが返ってきてソニーが二人で取った写真の片側だけ塗りつぶして去って行ったのを気付いた時、
ギターの弦が全部外れていましたよね。
写実されていない事は空想の余地がある、ということで二通りのパターンがあるんじゃないかと。
片方は強引ですけどね。
通常、一弦(一番細い弦。エイミーが切っちゃったやつ)はギターを弾いたことが無い人が適当に弾くと割と高い確立で切れます。
女の子だからゲージの細いもの使ってた、とするならば。
これは、たぶんソニーが持ってたものじゃなくてソニーのお姉さんが使ってたものでしょう。
たぶんポラロイドカメラもそう。少なくともギターは自分で買ったものじゃないという気はします。
あの拙い弾き方もソニーのキャラクターの中に組み込まれているのだとすれば。
自分より「何でもできる」お姉さんが使ってて、結婚した辺りか子育ての辺りでソニーにあげたあげたものだと思います。
さて、そんなアートフルなお姉さんがくれたからかはたまたその胸の内は不明ですが、
使っていたギターの弦が切れた。たぶんエイミーがやった、と。
でも、ここで怒り心頭に来て、もしくは他の積もり積もった何やかにやで絶縁宣言として写真を塗りつぶし、弦を全部切って出ていくでしょうか?ギターは大事にしてた、というか自分の持ち物だったのに?
第一、けっこう手間なんですよ。ギターの太い弦も切っていくのって。
それやるならネックもって思いっきり何かにたたきつけて折る方がよっぽど楽。
これですよこれ。
エイミーの持ってたギターをソニーが借りていたならまだわかるけど、それでもなんか当てつけ染みててこれまで映画の中で出てきてたソニーじゃないというか。
それだったらお姉さんと会った時もうちょっとドラマチックな、というか緊迫感のある展開になっていたような。
これが一つ目のパターンですが、個人的には上で書いたようにソニーはそういう形で、激情を発露させる感じでは無い、気がするんです。
だから二つ目のパターン押しなのですが、
実はソニー、ギターの弦を交換途中でめんどくさくなって逃げ出したんじゃないかと。
ギターの弦を張り替える時も通常切れた弦だけ交換するんじゃなくて全部替えるんです。
バチ、バチって切って、弦を差し込んであるピンを抜いて、
フレットと指版を拭いて(人によってはレモンオイルで磨いて)って、中々めんどくさい。
で、切った後にこの後に横たわっている「すべきこと」と人生の(高校生としての?)「なるべき姿」を重ねて考えてしまって、事故後の披露もあって逃げ出してしまったのではないかと。
× 決別宣言
○ 逃亡
という解釈です。
そうするとエンディング間際の「逃げよっか」がもう一つのプロセスを経た響きで聞こえてくるのと、
エイミーの返答が肝になるのかな、とかね!!